初めてのスタッフ採用の話

市川
ありがとうございます。あれもう、とにかくお金はない、何もない、一年先にあるか微妙に分からない(笑)、事務所で。
(笑)

大塚

市川
人を募集しないと、私、自分一人だと「自分一人ですべての責任を負わなきゃいけない」と思うと、ちょっとプレッシャーに押しつぶされそうになるんですよね。
(笑)

大塚

市川
電話が鳴るたびに、なんか嫌なことを言われるんじゃないかと思って。
あぁ。

大塚

市川
電話取るのが怖いんですよ。
えぇ。

大塚

市川
だから反面、電話対応ものすごく得意なんですけど。
ええ(笑)。

大塚

市川
(笑)でも電話自分で取らなきゃいけないのが嫌で、人を雇おうと思ったのが一番最初で。
ええ。

大塚

市川
電話取ってもらいたいんだったら、フルタイムでいてもらわなきゃいけないじゃないですか。
ええ、ええ。

大塚

市川
そうすると、給料もギリギリしか払えないし。
はいはい、覚えてますね。

大塚

市川
そう、どうしようもないときに「どうやったらそれだけで来てくれるだろう?」と思ったら「独立したい人しかいないだろう」と思ったんですよ。
(笑)はいはい。

大塚

市川
独立したい人だったら、独立直後でなんとか人を雇えるようになったギリギリの事務所で、大きくなるか潰れるか(笑)どちらにしろ、絶対勉強になると思うし。
(笑)ええ。

大塚

市川
二人しかいないから「全部自分でやらなきゃいけない」って覚悟を持って入ってくれるから、シミュレーションができるだろうと思って「独立志望の人」っていうふうに打ち出したんですよね。
ええ。

大塚

市川
私の理想としては、20代30代の「テスト受かって独立したいけれども、どうやったらいいか全然わかんない」みたいな若者が来てくれるんじゃないかなって思ってたら(笑)。
(笑)

大塚

市川
あの募集に大塚さん以外にも10人ぐらい応募があったんですよ。
すごいじゃないですか。

大塚

市川
でしょ!10人あったうち、20代はひとり。
へー。

大塚

市川
あと全部、40代以上。
あー。

大塚

市川
40代50代60代(笑)。
はい(笑)。

大塚

市川
女性一人!
へー。

大塚

市川
「女性一人でやってる事務所です」って書いてあるのに(笑)。
(笑)。

大塚

市川
そうそうそう(笑)。だから若い女性が来ると思ったら、意外と年配の男性しか来なくて(笑)。年配の男性ばっかり来たから、全員に「今うちはこういう状況で本当に給料払えません」っていうのと、「30代女性が上司で大丈夫ですか?」っていうメールを全員に送ったんですよね。たぶん届いたと思うんですけど。
きましたきました(笑)。

大塚

市川
それに返信してくれたの、大塚さんとあと一人くらいだったんですよ。
あと返信さえないんですか?

大塚

市川
返信さえない。
それは失礼ですね。

大塚

市川
失礼でしょ。返信ないから、もういいやと思って。もうしょうがないから。大塚さんとあともう一人はメール返してくれたんですけど「私は何々会社の部長を務めた人間であり、給料の面は再考をいただけると」って書いてあって「だからないんだって、お金が!」みたいな(笑)。
(笑)

大塚

市川
逆立ちしたってないんだって!たぶんあなたの普通預金の通帳よりもうちの事務所の通帳のほうがお金少ないんだから!(笑)。
(笑)おっしゃってましたもんね、これ以上払ったら私が食べられないって。

大塚

市川
でも、同じぐらいに開業して、同じぐらいのときに人を雇い始めた人に聞くと、やっぱり「自分が食えるようになったな」って思った段階で「自分が食えてる分を使って人を雇った」っていう人がやっぱり多くて。
ああ。

大塚

市川
やっぱり、家族抱えて開業した人はそういうわけにいかないから、もう少し人を入れるのを待ってますね。
なるほどね。

大塚

市川
はい。いろいろありましたけど、まあ懐かしい思い出です。
そうですよね。

大塚

市川
二人しか楽しくない話をずっとしててもしょうがないと思うんですけど。
はい(笑)。

大塚